2012年10月23日(火)
論戦で争点を明瞭にし、すみやかな解散・総選挙を
志位委員長が野田首相と会談
日本共産党の志位和夫委員長は22日、野田佳彦首相と国会内で党首会談をおこない、臨時国会と解散・総選挙、米兵による集団女性暴行事件とオスプレイ配備強行、尖閣諸島問題について党の考えを伝え、解決策を提起しました。会談には日本共産党から市田忠義書記局長、民主党から輿石東幹事長が同席しました。
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野田内閣は不信任に値する――国民の審判を仰げ
会談では野田首相が「29日から臨時国会を1カ月間の会期で開き、外交、経済、1票の格差問題、公債特例法案、国政の重要課題について審議していただきたい」とのべました。
志位氏は、「消費税大増税をはじめ、国政のあらゆる問題で、国民の民意に背き、公約を裏切ってきた野田内閣の責任はきわめて重大であり、不信任に値する。参院での問責決議可決という事態を重く受け止めるべきです」と指摘。「臨時国会では、消費税と経済問題、原発問題、TPP(環太平洋連携協定)問題、オスプレイと米軍基地問題、領土紛争など、国政の基本問題について国民の前で堂々と議論し、争点を明確にしたうえで、すみやかな解散・総選挙で国民の審判を仰ぐべきです」とのべました。
また、田中慶秋法相について「ただちに罷免すべきです。任命責任は重大で、かばった責任も重大です。厳しく追及し、真相究明を求めます」と語りました。
首相は「民主党にとっては耳の痛いことばかりですが、おっしゃることはよく分かりました。議論をしていきましょう」と発言。さらに、志位氏が、国会運営について、「野党がそろって審議できる環境づくりをおこなうのは政府・与党の責任です」と指摘すると、首相は「分かりました」と答えました。
米兵暴行事件・オスプレイ配備に抗議、米軍基地の全面撤去を
志位氏は、「この機会に、二つの重大問題についてのべたい」として、第一に、沖縄での米兵による集団女性暴行事件とオスプレイ配備強行について言及しました。
志位氏は、この間、オバマ米大統領あてに、強い抗議とともに、米軍基地の全面撤去を求める緊急の書簡を送ったことを、同書簡を首相に手渡しながら語りました。「女性暴行事件は卑劣きわまりない蛮行です。『綱紀粛正、再発防止』を繰り返し言いながら、凶悪犯罪を防げなかった米国政府の責任が厳しく問われます。日本政府の責任も重大です」と強調。「米軍基地がある限り悲惨な事件はなくならない、というのが県民の声であり、基地の全面撤去こそ必要です」とのべました。
さらに、志位氏は、オスプレイ配備の強行について、「沖縄を植民地のように扱う暴挙です。日米合同委員会が『安全対策』なるものを合意したにもかかわらず、実際には、人口密集地での飛行やヘリモードでの住宅地上空の飛行など、ことごとく無視されています。オスプレイ配備撤回、普天間基地の無条件撤去を求めます」と強調しました。
志位氏は、沖縄県議会が22日、全会一致で「米軍人による女性暴行事件に関する意見書」を可決し、そのなかで、「県民の我慢の限界をはるかにこえ、県民からは米軍基地の全面撤去を求める声も出始めている」と指摘していることをあげ、「この決議を重く受け止めるべきです」と語りました。
首相は「あってはならない事件です。綱紀粛正と再発防止を申し入れています。根底には沖縄の負担の重さがあります」と発言。志位氏が「全会一致の決議を重く受け止めるべきです」と重ねて強調すると、首相は「民意として厳粛に受け止めたい」とのべました。
尖閣問題―領土に関わる紛争を認め、冷静な外交交渉による解決を
第二は尖閣問題です。
志位氏は、解決に向けた「提言」や外国特派員協会での講演などを手渡し、日本の領有の正当性は歴史的にも国際法上も明瞭であるという党の立場をのべるとともに、「問題は、そのことを、中国政府に対して正面から主張していないことにあります。『領土問題は存在しない』ということを、棒をのんだように繰り返してきたため、中国に対して主張も反論もできないという自縄自縛に陥っている」と指摘。「この態度をあらため、領土に関わる紛争問題が存在していることを正面から認め、冷静な外交交渉によって、日本の領有の正当性を理をつくして堂々と説くことが解決の道です」と提起しました。
志位氏は、「これは、日本政府に不当な譲歩を求めるものではありません。これまでの『外交不在』から、『外交攻勢』に転ずるべきだと提起したものです。ぜひ受け止めていただきたい」とのべました。
「思考停止になっていたことを反省しなければならない」(首相)
これに対して野田首相は、「領有の正当性については共産党と立場が一致しています。この点はたいへん心強い」とのべたうえで、志位氏が「自縄自縛」と指摘した問題について、「これまで思考停止になっていたことは反省しなければならないと考えています。日本の領有の正当性について内外に発信するということに努めていかなければならない」と表明しました。
志位氏は、「これまで思考停止になっていたことを認めたことは大事な一歩だと思います。ぜひわが党の『提言』を真剣に検討していただきたい」と重ねて求めると、首相は「一つの意見として受けたまわります」とのべました。
さらに志位氏は、「緊張と対立をエスカレートさせるような物理的対応の強化、軍事的対応論は日中双方が慎むべきです。冷静な外交交渉による解決が必要です」と強調。首相は、「冷静な外交解決というのはその通りです。エスカレートさせず、クールに理性的に冷静に紛争に対応していきたい」と応じました。
最後に志位氏が、「この問題は、日中の緊張と対立を打開する上で知恵をしぼらなければいけません。今後も節々で必要な提起を行っていきたい」と表明すると、首相は「そうしたい」と応じました。